大判例

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福岡高等裁判所宮崎支部 昭和27年(う)642号 判決

なるほど被告人の父國彦はサルベージを業とし九州海運局に対して海沒物の調査申請をなし同海運局鹿児島支局長の諒解の下に右調査に従事していたものであり被告人は父の手伝をしていたものであるところ原判示の日時場所で被告人の上陸不在中被告人が雇傭した潛水夫等の手によつて原判示の物件を引揚げたこと及び右引揚の事実を鹿児島税関支署口永良部監視署に部下をして届出させたことは所論のとおりである。しかしながら被告人は帰船後右引揚物件中鉄板を分断し且薬莢の火薬を抜取り廃棄した上持ち帰りこれを前記監視署に届出でたものであるところ原判決が証拠として引用した海上保安官に対する被告人の供述調書の記載によると被告人は右物件を参考品として持参したものであることが認められるし原審証人森政彦の証言によると海沒物の調査は単に調査に止まり海沒物件を引揚げるが如きは右調査許可の範囲外に属することが認められるところ被告人が引揚げられたこれらの物件を参考品とする目的で持ち帰つたことは即ち自己のためにこれ利用しようとする意図に出でたことに外ならないのである。右のように考えると他人の管理、所有に属しない物件ならば格別他人所有の物件を自己の用に供する目的でこれをその実力支配内に移したものと認めるのを相当とするから不法領得の意思がなかつたとはいわれない。原判決が右の事実を目して窃盜罪を以て問擬したことは相当である。

(後略)

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